今、この時、杉浦は想ふ。

イエロー・シアン・マゼンタのギターボーカル、杉浦啓介が想ったこと。感じたこと。じっくりことこと。

【愛すべきは音楽 曲解説】第三回「8月の夜に」

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イエロー・シアン・マゼンタ初のアルバム『愛すべきは音楽』の楽曲解説です。

 

 

そういえば、先日からApple MusicやSpotify、LINE Musicなどのストリーミングも開始されました。たくさん聴いてくれているでしょうか!

 

 

まだの方はこちらのリンクからどうぞ。ぜひともお友達にも勧めてくださいませ。

愛すべきは音楽 by イエロー・シアン・マゼンタ

 

 

では、楽曲解説、第三回は「8月の夜に」です。

(歌詞は最下部に掲載)

 

youtu.be

 

 

 

夏に”夏らしいこと”をやらないと妙に虚しさを感じる性分でございます。

 

それはもしかしたら、”子供の頃に感じた夏休みのワクワク感や、終わってしまう時の寂しさを特に感じることもなくなった自分”に対して、少しでもあの頃のような感動を味わいたいと思う気持ちが働いているのかなって思ったりします。

 

子供の頃は大人に憧れを抱いていましたが、いまや”子供が感じる感動や感情”こそ羨ましいものです。きっと人生ってそういうものですね。

 

 

 

さて、この曲は「花火」がテーマになっていますが、僕の地元の話をしようと思います。

 

 

僕の地元、東京都江戸川区は8月に花火大会がありまして、土手に行って花火を見上げるのは子供の頃からの恒例行事でした。

 

 

親族が集まって大人数で見ることが多かったから、当日の朝から場所取りをして炎天下のブルーシートに寝転がって日が沈むのを待っていました。僕にとっての花火大会はそうやって一日中楽しむものでした。

 

小学生の後半ごろからは友達を呼んだり、高校一年の頃には始めたアルバイトがどうしても休めず、少しだけ見てから花火が上がっている最中に人混みを逆走してバイト先に向かうこともあったり。

 

当たり前のように毎年参加していたし、毎年見に行くものだと思っていたわけですが、

それでもやっぱり大人になるにつれて見に行かない年がでてくるわけです。

 

 

大人になったら好きな人と一緒に行くんだろうなとかロマンチックなことを考えていたりもしましたが、(笑)

現実はというと花火大会の日程すら知らず、いつもよりやたら賑やかな駅の様子で初めて気づいたりするのです。

 

憧れと現実。変わってしまった自分。なりたいものになれていない自分。

 

そんな現状を見つめた時に、子供の頃に憧れた自分に少しでも近づけるようにと作った曲です。

 

 

歌詞やメロディーを含め、楽曲の全体からそれぞれの景色を思い描いてもらえたら嬉しいです。

 

ではまた。

 

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8月の夜に

 

今年もどうやら花火は見られない
気づけば夜風がひんやりしている

 


アイスを食べた駄菓子屋は今は無くて ちいさな僕に教えたら怒るかな
あの頃より心は縛られて いつの間にか 1 日が終わっている


窮屈なことばかり続く毎日
今日も 1 人 家に帰り 本当の愛を探してる


あの頃描いた 自分になれずに
くすぶった想いも 薄れてしまうんです

 


夜になって賑やかになってゆく街
土手沿いの風景
そこに見える 鮮やかな光は夢のよう


あの日の花火が あの日の想いが
消えないようにと 願って願って


今年の花火も どうやら見られない
いつかは一緒に 見られると願って